科学的思考 2018 3 4

 うなぎ屋の「秘伝のタレ」は、
なぜ、200年使い続けても腐らないのか?

書名 日本人の9割が答えられない 理系の大疑問100
出版社 青春出版社 文庫

 「私は、数学が苦手だから、理系はあきらめた」、
あるいは、「数学が苦手だから、科学者を目指さなかった」
 そういう人が非常に多いですが、それが大きな間違いです。
そもそも、科学的思考に数学は不要です。
 数学が原因となって、
科学的思考ができる人たちを理系から排除していくシステムは、
間違っているのです。
 そもそも、今の教育は、教え方が悪いので、
数学嫌いを大量生産しています。
 基本的に、数学が得意な人は、
他人に数学を教えることはできません。
 数学が得意な人とは、「抽象化」・「記号化」が好きな人です。
このような人が数学を教えたら、結果は見えています。
 「うなぎ屋の『秘伝のタレ』は、
なぜ、200年使い続けても腐らないのか」と考えるのも、
立派な科学的思考であり、数学は必要ありません。
 ところで、日本では、大学受験の時期が終わりつつあります。
相変わらず、理系では、医学部が最難関だと聞きました。
 しかし、そこに、私は、異論を唱えたいのです。
医学部は、文科系の学部でしょう。
少なくとも、理科系の学部の中では、最も文科系です。
 名医が、こう言っていたのを覚えています。
「問診で、解決できる。
丁寧に問診をすれば、大方、問題点がわかる」
そして、適切な薬を処方する。
 ここで必要な能力は、文科系の能力です。
だから、医者に数学や物理は必要ないのです。
 患者を目の前にして、じっくり観察して、
患者から話を十分に聞く。
そして、今までの経験を参考にしながら、
病気の症状と患者の話を分析する。
 そこに推理と判断力は必要でしょうが、
どう見ても、このようなことは、
文科系の人が得意とすることでしょう。
 医学部を理系に置いたのは間違いです。
数学や物理を専門とする人から、医学部を見れば、
「あれは、どう見ても、理系ではない」と見えます。

フェルミ推定 2014 10 12

書名 数学×思考=ざっくりと
著者 竹内 薫  丸善出版

「日本の国道の総延長を求めよ」
(ヒント)
国道の数は、459本である。
日本で一番短い国道は、187メートルで、
一番長い国道は、743キロメートルである。
 実は、ヒントに「わな」があり、
たいていの人は、誤答となってしまうかもしれません。
 なぜかというと、短い国道と長い国道の数字を使って、
平均値を求める前に、「分布」を考える必要があるのです。
 そこで、もっと、わかりやすい問題で考えてみましょう。
あるクラス(50人)の数学の点数は、こうでした。
最高点が98点、最低点が2点でした。
平均点は、50点ですか。
 いいえ、違います。
この時のテストは、簡単な問題が多く、
多くの学生が70点から80点の点数を取ったのです。
だから、平均点は50点にはなりません。
ここで重要なことは、得点の「分布」を考える必要があるのです。
 話が長くなりましたが、
要するに、計算をする前に、データの「分布」を考える必要があります。
これだけ覚えれば、フェルミ推定の「香り」を味わったことになります。
 ところで、この本には、物理学者に対する悪口が書いてあるような気がします。
今年(2014年)は、日本人がノーベル物理学賞を受賞して盛り上がっているのに、
水をさすような話が書いてあります。
 しかし、同じ物理学と言っても、分野が違うかもしれません。
今年の物理学賞は、LEDという分野で、
これは、化学や工学に近い分野でした。
 ところで、自然界には、4つの「力」があります。
重力、電磁気力、強い力、弱い力。
 問題は、重力です。
4つの「力」の中で、意外にも重力の力は弱いのです。
そこが苦慮するところです。
 これに対して、著者は、
「3次元でも考えるのが大変なのに、
物理学者は、11次元まで広げてしまった」と言います。
「宇宙を11次元まで広げると、楽なことがある。
電気や磁石の力は、3次元の空間に閉じ込められているが、
重力は、もっと高い次元まで染み出している。
つまり、われわれの世界から外に漏れているために、
重力は、弱いのだと説明できてしまう。
だから、物理学者は、宇宙を11次元まで広げてしまった」
 さて、重力は、どう考えましょうか。
素粒子、光子、重力子・・・・・。
これは、粒子にこだわった考え方です。
この方法で頑張るか、全く発想を変えていくか。
重力解答の悩みは尽きないかもしれません。
 数学から物理学まで話が飛躍してしまいましたが、
「計算をする前に、データの分布を考える必要がある」ということです。
 これは、ビジネスにも役立つ考え方です。
数学は教室の中だけではなく、ビジネスや仕事にも役立つのです。





















































































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